自費のサービス利用上の問題

介護保険の認識不足や誤解により、ヘルパーの仕事に対する不満が利用者から挙がるケースがあります。介護保険におけるヘルパーの仕事は、利用者が自立した日常生活を営むための支援に限られています。そしてその対象は、要介護者のみに限定されているのです。要介護者以外の家族の食事の世話や来客の接待、ペットの世話や庭の草むしり、床のワックス掛けなどは、自立した日常生活を営む支援の範囲外といえヘルパーの仕事ではないことになります。しかし、利用者の願いを断ることはヘルパーの信頼にも関わるため簡単にはいかないのも現実ではないでしょうか。とはいえ、利用者全員の希望を聞いてしまうのは良い対応とは言えません。サービス提供の範囲を逸脱している場合、不適切な対応として報酬を没収されてしまう可能性があるからです。

このような悩みを解決するために介護保険外の自費サービスの活用という手段があります。これは、利用者宅を訪問するヘルパーにあらかじめどのようなサービスを受けたいのかを告げ、料金を支払うことで介護保険では受けることのできないサービスを受けられるという制度です。こうすれば、利用者の希望も叶えられ、ヘルパーの心理的な負担も減ることになります。

注意しなければならないのは、この制度をもってしてもまだ、介護保険サービスと介護保険外のサービス提供は同時に行えない点でしょう。要介護者とその家族の食事や洗濯は、一緒に調理したり、洗濯することはできないのです。これらのサービスは別々に行う必要があります。家族の意向により、介護保険制度が利用されることを防ぐ目的であるようです。